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JAK阻害薬と帯状疱疹|リスクが上がる理由と初期症状・ワクチン予防をリウマチ専攻医が解説

「JAK阻害薬を飲み始めてから、ピリピリした痛みや赤い発疹が出た」——このような経験をしたことはありませんか。関節リウマチをはじめとしたリウマチ性疾患の治療でJAK阻害薬を使っている方にとって、帯状疱疹は決して他人事ではない副作用のひとつです。効果の高い治療薬だからこそ、そのリスクを正しく知り、早めに気づき、そして予防できる部分は予防しておくことが、治療を安心して長く続けるためのポイントになります。この記事では、なぜJAK阻害薬で帯状疱疹が増えるのか、早期に気づくためのセルフチェックのポイント、そしてシングリックスワクチンによる予防法まで、リウマチ専攻医がわかりやすく解説します。

患者さん
先生、リンヴォックを飲み始めてから、脇腹がピリピリ痛むんです。湿疹みたいなものも出てきて…

子育て内科医
それは帯状疱疹の可能性がありますね。JAK阻害薬を使っている方には比較的よく見られる副作用なので、今日はくわしくお話ししましょう。

目次

JAK阻害薬とは?どんな病気に使われるのか

JAK阻害薬は、関節リウマチの治療で中心的に使われている飲み薬タイプの薬です。日本ではトファシチニブ(ゼルヤンツ)、バリシチニブ(オルミエント)、ペフィシチニブ(スマイラフ)、ウパダシチニブ(リンヴォック)、フィルゴチニブ(ジセレカ)の5種類が、関節リウマチに対して承認されています。

また薬剤によっては、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)や強直性脊椎炎、巨細胞性動脈炎といったリウマチ性疾患、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎や円形脱毛症の治療にも使われます。ただしどの病気に使えるかは薬ごとに異なります。なお、全身性エリテマトーデス(SLE)などのいわゆる「膠原病」に対して承認されているJAK阻害薬は、現時点ではありません。

関節の炎症を引き起こすサイトカイン(炎症を伝える信号物質)は、細胞の中にある「JAK-STAT」という経路を通じて働きます。JAK阻害薬はこの経路をブロックすることで、炎症のシグナルそのものを弱め、関節リウマチの痛みや腫れを改善します。生物学的製剤と効果は同等とされており、注射ではなく飲み薬である点も特徴です(JAK阻害薬とは?種類・特徴・副作用で詳しく解説しています)。

効果が高い分、注意したい副作用がある

JAK-STAT経路は炎症だけでなく、ウイルスに対する免疫の一部にも関わっています。そのため、この経路を強くブロックするJAK阻害薬では、体に潜んでいるウイルスが再活性化しやすくなるという特徴があり、その代表が帯状疱疹です。

なぜJAK阻害薬で帯状疱疹が増えるのか

帯状疱疹は、子どものころにかかった水ぼうそう(水痘)のウイルスが、治った後も神経の根元にじっと潜み続け、加齢や免疫低下をきっかけに再び暴れ出すことで起こります。決してめずらしい病気ではなく、80歳までに約3人に1人が発症するとされ、日本では年間約60万人がかかっていると報告されています。JAK阻害薬は、このウイルスを抑え込んでいる免疫の働き(特にウイルス感染細胞を攻撃するT細胞の機能)を弱めるため、帯状疱疹の発症リスクが他の治療薬に比べて数倍程度高くなることが、国内外の臨床データや添付文書の安全性情報で報告されています。

「日本人はなりやすい」って本当?

まず前提として、帯状疱疹そのものの発症率は、日本・北米・欧州のいずれも年間1,000人あたり3〜5人程度とほぼ同じです(日本は4.83人)。「日本人だから帯状疱疹になりやすい」というわけではありません。

ただし、JAK阻害薬を使った臨床試験に限ってみると、日本や韓国の患者さんで帯状疱疹の発症率が他の地域より高いという報告があります(トファシチニブの臨床試験では全体で100人年あたり4.4件、アジアでは7.7件)。なぜ日本・韓国で高いのかはまだ解明されておらず、ステロイドの併用状況など他の要因が関わっている可能性もあります。いずれにせよ、日本で治療を受ける以上は注意しておいて損はない、というのが実際のところです。

日本リウマチ学会の「JAK阻害薬使用の手引き」でも、JAK阻害薬では帯状疱疹の発現頻度が上がること、全身に発疹が広がる「播種性帯状疱疹」など重症の帯状疱疹も報告されていることを挙げ、治療を始める前に初期症状と早期受診について患者さんに説明するよう求めています。また、過去に帯状疱疹にかかったことがある方については、治療のメリットがリスクを大きく上回ると判断される場合にのみ使うことが望ましい、とされています。

また、過去に帯状疱疹にかかったことがある方、高齢の方、ステロイドを併用している方は、さらにリスクが高くなる傾向があります。「自分は若いから大丈夫」と思わず、JAK阻害薬を使っているすべての方が、帯状疱疹の初期サインを知っておくことが大切です。

患者さん
私、子どものころに水ぼうそうにかかったことがあります。それが今になって出てくるということですか?

子育て内科医
その通りです。体の中に眠っていたウイルスが、薬で免疫の働きが少し弱まったすきに目を覚ましてしまうイメージですね。

JAK阻害薬の種類によってリスクは違う?生物学的製剤とも比較

現在日本で使えるJAK阻害薬には、トファシチニブ、バリシチニブ、ペフィシチニブ、ウパダシチニブ、フィルゴチニブなどがあり、それぞれ狙う標的(JAK1・JAK2・JAK3のどれを中心に抑えるか)や用量が異なります。薬剤ごとに帯状疱疹の発症率にはやや差があると報告されていますが、「このクラスの薬は全体として帯状疱疹に注意が必要」という点は共通しています。個々の薬剤でどの程度リスクが違うかは臨床試験の対象患者や観察期間によっても変わるため、担当医から処方されている薬剤に応じた説明を受けるようにしましょう。

一方、TNF阻害薬やIL-6阻害薬などの生物学的製剤と比較すると、JAK阻害薬のほうが帯状疱疹の発症率が高い傾向にあることが、複数の臨床試験・実臨床データで報告されています(比較する相手や患者さんの年齢によって幅がありますが、数倍多いとする報告もあります)。

この違いは、生物学的製剤が特定のサイトカイン1種類だけを狙い撃ちするのに対し、JAKという酵素は多くのサイトカインが共通して使う「信号の中継地点」になっているためと考えられています。JAKを止めると、炎症のシグナルだけでなく、ウイルスを抑え込む働きに関わるシグナル(インターフェロンなど)もまとめて弱まってしまうのです。だからといってJAK阻害薬が「危険な薬」というわけではありません。関節破壊の進行を抑える効果は非常に高く、飲み薬という通いやすさのメリットもあります。ただし、JAK阻害薬には帯状疱疹以外にも、悪性腫瘍・心血管系のイベント・血栓症など、担当医が定期的にチェックしている項目があります。これらについてはJAK阻害薬とは?種類・特徴・副作用で解説していますので、あわせてご覧ください。リスクとベネフィットを理解したうえで、上手に付き合っていく薬と考えるとよいでしょう。

帯状疱疹の初期症状とセルフチェック

帯状疱疹は早期に気づいて治療を始めるほど、重症化や神経痛の後遺症(帯状疱疹後神経痛)を防ぎやすくなります。次のようなサインに注意してください。

発疹が出る前のサイン

  • 体の片側(左右どちらか)だけに、ピリピリ・チクチクした痛みやしびれがある
  • 触れると違和感がある、下着がこすれるだけで痛い
  • 発疹が出る数日前から違和感が先行することが多く、患者さんの7〜8割で前触れの痛みがみられます。人によっては2週間以上前から痛みを感じることもあります

発疹が出てからのサイン

  • 赤い発疹の上に、透明〜白っぽい水ぶくれ(水疱)が帯状に並ぶ
  • 胸や背中、顔、お腹など、体の片側の神経の走行に沿って広がる
  • 強い痛みを伴うことが多い

※ただし、JAK阻害薬などで免疫が抑えられている方では、まれに発疹が片側の帯を越えて全身に散らばる「播種性(はしゅせい)帯状疱疹」という重症型になることがあります。左右両側に出ている、水ぼうそうのように全身に散らばっている、という場合はむしろ緊急性が高いので、すぐに受診してください。

こんなときはすぐに主治医・皮膚科を受診してください

顔(特に目やの周り)に発疹が出た場合、水疱が広い範囲に広がっている場合、発熱を伴う場合は、次の予約を待たずにできるだけ早く受診しましょう。特に、耳の周りの発疹に加えて「顔が動かしにくい」「耳鳴り」「めまい」「難聴」がある場合は、ハント症候群という顔面神経の合併症の可能性があります。後遺症を残しやすいため、すぐに受診してください。

抗ウイルス薬は、発疹が出てから72時間(3日)以内に開始するのが最も効果的とされています。ただし、添付文書上は5日以内の開始が望ましいとされており、新しい発疹が出続けている場合や、免疫を抑える治療中の方の場合は、3日を過ぎていても治療を行います。「もう間に合わないから」と受診をあきらめず、気づいた時点でできるだけ早く受診してください。

帯状疱疹と診断された場合、JAK阻害薬をいったん休薬して抗ウイルス薬の治療を優先することが多くありますが、休薬するかどうかは症状の重さによって判断が分かれます。自己判断で薬を中止・再開せず、必ず主治医に相談してください。

帯状疱疹はワクチンで予防できる

「発症してから治療する」だけでなく、「そもそも発症しにくくする」という選択肢もあります。それが帯状疱疹ワクチンです。

シングリックス(組換え帯状疱疹ワクチン)

JAK阻害薬や生物学的製剤、ステロイドなどで免疫が低下している方には、「シングリックス」という不活化(組換えサブユニット)タイプのワクチンが推奨されます。ウイルスそのものは含まれていないため、免疫が低下した状態でも接種できるのが特徴です。2023年6月には、50歳以上に加えて、「疾病または治療により免疫不全である18歳以上の方」にも接種の対象が広がり、関節リウマチ・膠原病の治療中の方も対象に含まれるようになりました。接種は2回(通常1〜2か月間隔)です。

健康な50歳以上の方を対象とした国際共同試験では、2回接種による帯状疱疹の発症予防効果は97%と報告されており、70歳以上でも91%、帯状疱疹後神経痛に対しても89%の予防効果が示されています。接種8年後でも84%の有効性が維持されていました。

ただし、これらは免疫が正常な方を対象とした試験の結果です。JAK阻害薬などで免疫が抑えられている方での効果や安全性のデータはまだ十分ではなく、一般に効果は健常な方よりやや下がると考えられています。それでも接種する意義は大きいと考えられますが、「打てば100%防げる」わけではない点は知っておいてください。

生ワクチン(水痘ワクチン)は接種できない

一方、従来からある「乾燥弱毒生水痘ワクチン」は、弱毒化した生きたウイルスを使うタイプのワクチンです。JAK阻害薬やステロイド、生物学的製剤などで免疫が抑えられている方は、このワクチンを接種することはできません(添付文書上の禁忌にあたります)。自治体の帯状疱疹ワクチンの案内では、生ワクチンとシングリックスのどちらかを選ぶ形になっていることが多いため、申し込む前に必ず主治医に確認してください。「帯状疱疹ワクチン」とひとくくりにせず、自分がどちらのタイプを打とうとしているのかを確かめることが大切です。

接種のタイミングと費用

可能であれば、JAK阻害薬など免疫を抑える治療を開始する前にシングリックスを接種しておくのが理想ですが、すでに治療を始めている場合でも接種は可能です。接種のタイミングは病状や治療内容によって個別に判断が必要なため、必ず主治医に相談してください。

費用は、接種の受け方によって大きく変わります。

① 定期接種として受けられる場合——2025年4月から、帯状疱疹ワクチンは予防接種法に基づく定期接種になりました。対象は、その年度に65歳になる方と、2029年度までの経過措置として年度内に70・75・80・85・90・95・100歳になる方です(このほか、60〜64歳でHIVによる免疫機能障害がある方も対象です)。この対象に当てはまれば、自己負担はシングリックス1回あたり8,000〜11,000円程度に抑えられます(金額は自治体により異なり、非課税世帯などは無料の場合もあります)。

② 対象外の場合——上記に当てはまらない方は全額自己負担で、1回2万〜3万円程度、2回で4万〜6万円程度が目安です。ただし、50歳以上を対象に独自の助成制度を設けている自治体も多くあります。

注意していただきたいのは、「免疫を抑える治療を受けているから公費で打てる」わけではないという点です。関節リウマチの治療中でも、年齢が定期接種の対象に当てはまらなければ自己負担となります。まずはお住まいの自治体のホームページで、定期接種の対象かどうかと独自助成の有無を確認してみてください。

患者さん
ワクチンを打っておけば、もう帯状疱疹の心配はしなくていいんですか?

子育て内科医
発症のリスクをかなり下げてくれますが、100%ではありません。ワクチン接種後も、体の片側にピリピリした痛みを感じたら、早めに相談してくださいね。

帯状疱疹と診断されたときの治療の流れ

実際に帯状疱疹と診断された場合、治療の中心は抗ウイルス薬の内服または点滴です。外来では、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビル(アメナリーフ)などが使われ、通常7日間内服します。アメナメビルは腎臓への負担が少なく1日1回の服用ですむため、腎機能が気になる方や高齢の方に選ばれることもあります。症状が軽くなっても自己判断で中断せず、処方された日数を飲みきりましょう。

次のような場合は、入院して点滴で治療することがあります。

  • JAK阻害薬など、免疫を抑える治療を受けている場合(=この記事をお読みの多くの方が該当します)
  • 発疹が帯状の範囲を越えて全身に散らばっている場合
  • 顔、特に目や耳の周りに発疹が出ている場合
  • 痛みや皮膚の症状が強い場合
  • 腎臓の働きが低下している場合
  • 発熱、強い頭痛、嘔吐がある場合(髄膜炎や肺炎を合併している可能性があります)

帯状疱疹と診断された場合、JAK阻害薬をいったん休薬して抗ウイルス薬の治療を優先することが多くあります。ただし、休薬するかどうかは症状の重さによって判断が分かれます。いずれにせよ自己判断で中止・再開はせず、必ず主治医に相談してください。

痛みへの対応は、急性期(発疹が出ている時期)と、その後に残る「帯状疱疹後神経痛(PHN)」とで少し異なります。急性期の痛みには、まずアセトアミノフェンなどの鎮痛薬が使われます。一方、皮疹が治った後も残るPHNには、市販の解熱鎮痛薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンは効かないことが多く、プレガバリン(リリカ)やミロガバリン(タリージェ)といった「神経の痛みに効くタイプ」の薬や、三環系抗うつ薬などが使われます。痛みが強い場合はペインクリニックで神経ブロックを行うこともあります。

なお、急性期の段階で「焼けるようにヒリヒリする」「触れただけ・服がこすれただけで痛い」といった症状がある場合は、PHNに移行しやすいことが知られています。こうした痛み方をしているときは、早めに主治医に伝えてください。早い段階から神経の痛みに効く薬を使い始めることが、後遺症を減らすことにつながると考えられています。

帯状疱疹後神経痛は、特に高齢の方で起こりやすい合併症です。抗ウイルス薬を早く始めることは、急性期の痛みを軽くし、後遺症を残しにくくするうえでも大切です。皮膚症状が完全に痂皮化(かさぶたになること)するまでは、水疱の中の液にウイルスが含まれているため、患部を清潔なガーゼなどで覆い、周囲への感染を防ぐようにしましょう。

治療中の生活でできる工夫

睡眠とストレス管理

帯状疱疹の主な原因は加齢と免疫の低下であり、JAK阻害薬を使っている方の場合は治療そのものが大きな要因です。睡眠不足やストレスも免疫の働きに影響すると言われていますが、「生活習慣に気をつけていれば防げる」というものではありません。発症しても、ご自身の自己管理が足りなかったからだと責める必要はまったくありません。そのうえで、体調を整えることは治療全体にとってプラスなので、できる範囲で睡眠時間を確保しましょう。

体調の変化を記録する習慣

「いつもと違う痛み」に気づくためには、自分の体の感覚に日頃から注意を向けておくことが役立ちます。皮膚に違和感を覚えたら、日付とともにメモしておくと、受診時に医師へ経過を伝えやすくなります。

感染対策と定期受診を続ける

帯状疱疹に限らず、JAK阻害薬の治療中は他の感染症にも注意が必要です。手洗いなどの基本的な感染対策を続けながら、定期的な血液検査・診察を欠かさず受け、体調の変化を早めに主治医と共有することが、安全に治療を続けるための一番の近道です(関節リウマチの治療中に感染症・ワクチンはどうする?もあわせてご覧ください)。

子育て中・仕事中の付き合い方

子育て中の方にとって心配なのは、「自分が帯状疱疹になったとき、水ぼうそうにかかったことのない我が子にうつしてしまわないか」という点かもしれません。水疱の中には高い濃度のウイルスが含まれており、かさぶたになるまでは感染力があります。実際に、水ぼうそうにかかったことのない家族にうつしてしまう確率はおよそ8%と報告されています。

基本の対策は、患部を覆う・水疱に触れた後は手をよく洗う・タオルを共有しないことです。ただし、注意点が2つあります。1つは、まれではあるものの空気を介して感染が広がる可能性がゼロではないこと。もう1つは、JAK阻害薬などで免疫が抑えられている方の場合、発疹が広い範囲に散らばる「汎発性帯状疱疹」になることがあり、その場合は空気感染への対策も必要になることです。発疹が帯状の範囲を越えて散らばっている、と感じたらすぐに主治医に連絡してください。

なお、保育所・幼稚園では、すべての発疹がかさぶたになるまでは水ぼうそう未罹患のお子さんと接触しないことが目安とされています。ご家庭に妊婦さん・乳幼児・水ぼうそう未罹患の方がいる場合は、必ず主治医に相談しましょう。

また、仕事をしている方は、体の片側の痛みや違和感を「疲れのせい」「肩こりや神経痛だろう」と自己判断で様子を見てしまいがちです。特にJAK阻害薬を服用中は、いつもと違う痛みに気づいたら早めに医療機関を受診する習慣をつけておくと安心です。

よくある質問

Q. 家族と帯状疱疹・水ぼうそうはうつし合いますか?

すでに水ぼうそうにかかったことがある方(多くの成人が該当します)が、他人の水ぼうそうから帯状疱疹をうつされることは基本的にありません。帯状疱疹は、体の中に潜んでいた自分のウイルスが再び活動を始めて起こるものだからです。

逆方向、つまりご自身が帯状疱疹になったときは、水疱の中の液が、水ぼうそうにかかったことのない人に水ぼうそうとしてうつる可能性があります。家族に妊婦さんや乳幼児、水ぼうそう未罹患の方がいる場合は、水疱を触らない・患部を覆うなどの配慮をし、心配な場合は主治医に相談してください。

Q. 一度かかれば、もうならないのでしょうか?

帯状疱疹にかかると、ウイルスに対する免疫がブースター効果で強まるため、口唇ヘルペスのように何度も繰り返すことは通常ありません。ただし「二度とならない」わけではなく、再発率は1〜6%程度、日本の報告では6.41%とされています。免疫が抑えられている方では再発のリスクが上がる可能性があるため、一度かかった方も初期サインは覚えておいてください。なお、帯状疱疹の既往がある方はJAK阻害薬使用時のリスクが高いとされているため、ワクチン接種についても主治医と相談しておくとよいでしょう。

Q. 帯状疱疹になったら、JAK阻害薬はずっと中止ですか?

多くの場合、抗ウイルス薬による治療で皮疹が落ち着けば、あらためて治療を再開できることが多いです。ただし再開のタイミングや今後の治療薬の選択(同じJAK阻害薬を続けるか、別の薬に変更するか)は、症状の重症度や経過によって個別に判断されます。自己判断せず、必ず主治医と相談しながら方針を決めましょう。

Q. ワクチンを打てば薬を減らせますか?

ワクチンはあくまで帯状疱疹を「予防する」ためのものであり、関節リウマチなどの原疾患そのものの治療薬を減らしたり中止したりする根拠にはなりません。治療薬の量や種類の見直しは、原疾患の活動性(症状や検査値の状態)をもとに、主治医が別途判断します。

Q. シングリックスに副作用はありますか?

接種した部位の痛みは約8割の方に、赤みは約4割、腫れは約3割の方にみられます。全身の症状としては筋肉痛が約4割、倦怠感が約4割、頭痛が約3割です。これらの症状が続く期間は中央値で3日ほどで、多くは自然に軽快します。死亡を含む重篤な副反応の頻度は、プラセボ(偽薬)を打った群と差がなかったと報告されています。

ほかのワクチンに比べて副反応が出やすいワクチンであることは確かなので、接種の翌日は無理をしない予定を組んでおくと安心です。心配な症状が続く場合は、接種した医療機関に相談しましょう。

まとめ

JAK阻害薬は関節リウマチをはじめとした病気の症状を大きく改善してくれる心強い治療薬ですが、その効果の裏側で帯状疱疹のリスクが上がるという特徴を知っておくことが大切です。体の片側だけのピリピリした痛みや発疹に気づいたら、我慢せずに早めに主治医や皮膚科に連絡しましょう。また、シングリックスワクチンによる予防という選択肢があることも、ぜひ主治医と相談してみてください。

「薬のリスクを知ること」は、薬を怖がることとは違います。むしろ、起こりうる副作用とその対処法をあらかじめ知っておくことで、いざというときに落ち着いて行動でき、結果として治療を安心して長く続けることにつながります。今回の内容を、次の診察で主治医に質問するきっかけにしていただけたら幸いです。この記事の内容は一般的な情報であり、実際の治療方針・ワクチン接種の判断は、必ず主治医・かかりつけ医にご相談ください。

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