📋 この記事でわかること
- JAK阻害薬とは何か・生物学的製剤との違い
- 主なJAK阻害薬の種類(トファシチニブ・バリシチニブ・ウパダシチニブ・ペフィシチニブ)
- 飲み薬である最大のメリット
- 副作用と注意点(感染症・血栓症・帯状疱疹など)
- 生物学的製剤との使い分け
「注射が苦手なんですが…」「毎回病院に行かなくてもいい薬はありますか?」——関節リウマチの患者さんからこうした声をよく聞きます。そんな方に選択肢として提示できるのがJAK阻害薬です。
JAK阻害薬は生物学的製剤と同等の高い効果を持ちながら、飲み薬(内服薬)として使用できる革新的な薬です。この記事では、リウマチ膠原病内科専攻医としてJAK阻害薬の特徴・種類・副作用をわかりやすく解説します。
JAK阻害薬とは?
患者さん


JAK(ヤヌスキナーゼ)とは、細胞内でサイトカインのシグナルを伝える酵素です。炎症性サイトカイン(IL-6・IL-12・IL-23・インターフェロンなど)が受容体に結合すると、JAKが活性化されて炎症反応が進みます。
JAK阻害薬はこのJAKをブロックすることで、複数のサイトカインのシグナルを同時に遮断し、炎症を抑えます。低分子化合物であるため内服薬として使用でき、注射が不要という大きなメリットがあります。
主なJAK阻害薬の種類






| 薬剤名(商品名) | 用法 | 特徴 |
|---|---|---|
| トファシチニブ(ゼルヤンツ®) | 1日2回内服 | 最初に承認されたJAK阻害薬。豊富な使用実績 |
| バリシチニブ(オルミエント®) | 1日1回内服 | 1日1回で済む。腎機能に応じて用量調整 |
| ウパダシチニブ(リンヴォック®) | 1日1回内服 | 選択的JAK1阻害薬。高い有効性のエビデンス |
| ペフィシチニブ(スマイラフ®) | 1日1回内服 | 国内開発。MTXとの併用・単独使用が可能 |
副作用と注意点






① 感染症リスク
生物学的製剤と同様、免疫抑制による感染症リスクがあります。開始前に結核検査(IGRA)・B型肝炎ウイルス検査が必須です。発熱・咳・息切れなどが続く場合は速やかに受診してください。
② 帯状疱疹
JAK阻害薬では帯状疱疹の発症リスクが生物学的製剤と比較して高い傾向があります。開始前に帯状疱疹ワクチン(シングリックス®:不活化ワクチン)の接種を検討することが推奨されています。ピリピリした痛みや皮疹が出たら早めに受診を。
③ 血栓症リスク
高用量のトファシチニブで深部静脈血栓症・肺塞栓症のリスク上昇が報告されています。そのため50歳以上で心血管リスク因子がある患者さんでは使用に際して慎重な判断が必要です。担当医とリスク・ベネフィットをよく相談してください。
④ 妊娠中は使用不可
JAK阻害薬は妊娠中・授乳中の使用は禁忌です。妊娠を希望する場合は中止が必要なため、必ず事前に担当医に相談してください。
生物学的製剤との使い分け






| 状況 | 推奨される選択 |
|---|---|
| 注射が苦手・自己注射が難しい | JAK阻害薬(内服) |
| 間質性肺疾患を合併している | アバタセプト(T細胞阻害薬)が比較的安全とされる |
| 妊娠を希望している | セルトリズマブペゴル(TNF阻害薬)など。JAK阻害薬は不可 |
| 50歳以上・心血管リスクが高い | JAK阻害薬は慎重に。TNF阻害薬・IL-6阻害薬を検討 |
| MTXが使えない | IL-6阻害薬・JAK阻害薬(単剤使用が可能) |
まとめ
- JAK阻害薬は細胞内のJAKシグナルを遮断する飲み薬の抗リウマチ薬
- 生物学的製剤と同等の高い効果を内服で得られる
- 現在4種類(トファシチニブ・バリシチニブ・ウパダシチニブ・ペフィシチニブ)が使用可能
- 帯状疱疹リスクが高め→開始前にシングリックス接種を検討
- 高齢・心血管リスクがある場合は血栓症リスクに注意
- 妊娠中・妊娠希望中は使用不可
⚠️ 免責事項
本記事はリウマチ膠原病内科専攻医が執筆した医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療の代替となるものではありません。治療薬の選択・変更については必ず担当医にご相談ください。

