「子どもを抱っこすると手首が痛い」「料理で包丁を握るのがつらい」「洗濯物を干すのがしんどい」――リウマチ・膠原病を抱えながら家事や育児をこなす毎日、本当にお疲れさまです。私自身もリウマチ内科専攻医として診療しながら子育てをする一人の母として、関節を守りながら家事育児をこなす工夫を共有させてください。本記事では、関節への負担を減らす具体的なテクニックと便利グッズをご紹介します。
患者さん子どもを抱っこすると手首が痛くて…でも甘えてくる子を抱きしめてあげたい



気持ちわかります。関節を守る抱き方や便利グッズを使えば、痛みを軽くしながら愛情を伝えられますよ。
目次
関節を守る基本|「関節保護」の3原則
①小さい関節より大きい関節を使う
同じ作業でも、手指より手首、手首より肘、肘より肩・体幹で行うほうが負担が分散されます。
②関節を中心位置(ニュートラル)に保つ
手首が極端に曲がる・反る姿勢は避けます。瓶のフタを開けるときも、握り込まずに掌全体で押し回すなどの工夫をします。
③こまめに休む(ペーシング)
長時間連続作業を避け、痛みが出る前に休憩。「疲れる前に休む」が鉄則です。
育児|抱っこ・お世話のコツ
抱っこの工夫
- 抱っこ紐を活用:体幹で支えるので手首・指の負担激減
- 腰ベルト付きの抱っこ紐(エルゴ・ベビービョルンなど)が腰を守る
- 抱き上げる時は「自分にしゃがんで近づける」→体幹で持ち上げる
- 片手抱きは避ける(手首を捻る原因)
お風呂・着替え
- バスチェアやベビーバスでサポート
- 着替えは床ではなくテーブル・ベッドで(しゃがみ込みを減らす)
- マジックテープ式のロンパースで指の負担減
- ボタンが多い服を避ける
授乳・ミルク
- 授乳クッションで腕の負担軽減
- ミルク作りは電気ポット+液体ミルクも選択肢
- 夜間授乳は混合栄養でパートナーと分担
おむつ替え・離乳食
- 高さのあるオムツ替え台で前かがみ姿勢を減らす
- 離乳食はベビーフード活用も罪悪感なくOK
- 食事用エプロン・シリコンビブで掃除負担減
料理の工夫
調理器具を見直す
- 太いグリップの包丁:握りやすく手首が安定
- 軽量の鍋・フライパン(チタン製・取っ手が取れるタイプ)
- 電動ピーラー・電動オープナー
- 瓶のフタ開けは「ジャーオープナー」
- キッチンばさみ(指の力を集中させる握り方が可能)
作業姿勢
- 立ち作業はキッチンスツールで座って
- シンクの前にマットを敷いて疲労軽減
- 重い鍋は持ち上げず、スライドさせる
時短の工夫
- カット野菜・冷凍野菜の活用
- 圧力鍋・電気圧力鍋・ホットクック等の調理家電
- 食洗機(手洗いを減らす最大効果)
- ミールキット・宅配弁当も上手に活用
掃除・洗濯の工夫
掃除
- 軽量コードレス掃除機(マキタ・ダイソンなど)
- ロボット掃除機の導入
- 長い柄のモップで前かがみを減らす
- シート式モップで手首を捻らない
洗濯
- ドラム式乾燥機付き洗濯機が最強(畳む量も減る)
- ハンガーごとの収納で「畳む」を減らす
- 洗濯バサミは力の要らないタイプ(マグネット式・つまみ式)
- 高い位置に干す場合は踏み台と低い物干しを使い分け
食器洗い
- 食洗機で手洗い負担を激減
- 洗剤泡スプレーで擦り作業を減らす
- 軽量プラスチック食器の活用
便利な自助具・サポートグッズ
- ペットボトルオープナー:力なく開けられる
- 長い柄のブラシ・スポンジ:手首を曲げずに洗える
- クッションマウス・エルゴノミクスマウス:PC作業の手首負担減
- サポーター・テーピング:症状に応じて医師・PT/OTに相談
- カート付き買い物バッグ:重い荷物を持たない
作業療法士(OT)に相談を
関節保護指導や自助具の処方は作業療法士の専門領域です。リハビリテーション科で相談できますよ。詳しくはリハビリテーションの記事もご覧ください。
家族・パートナーとの分担
「見える化」で共有
- 家事リストを書き出し、誰が何をしているか可視化
- 「察してほしい」より「具体的にお願い」
- 得意分野を活かす分担
子どもへの伝え方
- 「ママは関節が痛くなる病気がある」と年齢に応じて説明
- 「手伝ってくれて嬉しい」「ありがとう」を伝える
- 子どもの優しさを育てるチャンスに



夫に「これくらい大丈夫でしょ」と言われるとつらいです



見た目では分からない病気だから、痛みのレベルを数字で伝えるなど工夫すると伝わりやすいです。一緒に主治医の話を聞きに来てもらうのもおすすめですよ。
外部サービスを活用しよう
- 家事代行サービス:ベアーズ・CaSy(カジー)・タスカジなど
- 宅食サービス:nosh(ナッシュ)・ワタミの宅食・ヨシケイなど
- ネットスーパー・コープ:重い荷物を運ばずに
- ファミリーサポート:自治体の子育て支援
- 病児保育・一時保育:体調不良時の頼り先
- 障害者総合支援法に基づく居宅介護(ホームヘルプ):指定難病の方は利用できる場合があります(市町村窓口へ要問合せ)
完璧を目指さない|ママ医師としての本音
家がピカピカでなくても、食事が完璧でなくても、子どもは元気に育ちます。母親が痛みをこらえて頑張りすぎるより、適度に手を抜きながら笑顔でいるほうが、ずっと家族の幸せにつながります。
家事代行やお惣菜の利用に罪悪感を持つ必要はありません。「自分の体を労ること」は、長く子育てを続けるための投資です。
まとめ|関節を守りながら毎日を楽しもう
- 関節保護の3原則:大きな関節を使う・ニュートラル位・こまめに休む
- 抱っこ紐・調理家電・食洗機・乾燥機など道具で負担軽減
- 家族・パートナーと家事を「見える化」して分担
- 家事代行・宅食・公的支援を遠慮なく活用
- 完璧を目指さない、母親が笑顔でいることが最優先
痛みが強い時は無理せず主治医・作業療法士に相談しながら、自分らしい家事育児スタイルを見つけてくださいね。
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