患者さんリウマチの痛みにリハビリは効果がありますか?何をすればいいかわからなくて…



リハビリはリウマチ治療の重要な柱の一つです。薬だけでなくリハビリを組み合わせることで、痛みの軽減・機能維持・QOL改善が期待できます。詳しく解説します。
目次
リウマチ・膠原病におけるリハビリテーションの役割
関節リウマチ(RA)・膠原病のリハビリテーションは、薬物療法と並ぶ重要な治療の柱です。ACR 2022ガイドラインおよびEULAR 2018推奨でも、薬物療法に加えてリハビリテーション・運動療法を行うことが推奨されています(「運動を行わないよりも行うこと」は強く推奨。各運動の種類は条件付き推奨)。
リハビリの目的は以下の3つです:
- 疼痛の緩和:筋力強化・関節保護・物理療法による痛みのコントロール
- 機能の維持・改善:関節可動域・筋力・ADL(日常生活動作)の維持
- QOLの向上:仕事・家事・趣味への参加を維持する
リハビリの種類
①運動療法
リハビリの中心となる治療法です。
関節可動域(ROM)訓練
- 関節の動く範囲を維持・拡大するための運動
- 炎症期でも痛みのない範囲でゆっくり動かすことが重要
- 毎日継続することで関節の拘縮(固まり)を予防する
- 例:指の曲げ伸ばし・手首・肩・股関節・膝の円運動
筋力強化訓練
- 関節を支える筋肉を強化することで関節への負担を軽減する
- 炎症が落ち着いている時期(安定期・寛解期)に開始する
- 等尺性運動(関節を動かさずに筋肉に力を入れる)から始めるのが安全
- 例:大腿四頭筋訓練(Quad Set=膝の下にタオルを置いて膝で床を押しつけ5秒キープ)・握力訓練・体幹筋トレーニング
- ※膝伸展位での脚上げ(SLR)は股関節が動くため等張性運動に分類される
有酸素運動
- 心肺機能の維持・疲労感の改善・体重管理に有効
- 水中ウォーキング・水泳:関節への負担が少なく最適
- ウォーキング:平地で無理のないペースで。国際ガイドラインでは週150分(1回30分×週5回)の中等度有酸素運動が推奨。10分×3回などに分割しても有効
- 自転車エルゴメーター:膝・股関節への負担が少ない
②物理療法(理学療法)
熱・寒冷・電気などの物理的な手段を用いた治療です。
- 温熱療法:ホットパック・赤外線・超音波。慢性期の痛み・こわばりに有効
- 寒冷療法:アイスパック。急性炎症期の腫脹・熱感に有効
- 経皮的電気神経刺激(TENS):電気刺激で痛みを和らげる。一部の研究でリウマチの慢性疼痛への鎮痛効果が示されているが、エビデンスの質は限定的。補助的手段として用いられる
- 超音波療法:深部組織の加温・代謝促進
③作業療法(OT)
日常生活動作(ADL)や仕事・趣味活動への参加を支援する療法です。
- 関節保護指導:大きな関節を使う・痛い動作を避けるなどの具体的な方法を指導
- 自助具・補助具の提案:ジャーオープナー・太グリップ箸・電動歯ブラシなど
- 住環境の整備アドバイス:手すりの位置・台所の高さなど
- 副子(スプリント)の作製:夜間に関節を安定した位置で保持し、変形を予防
炎症の程度によるリハビリの進め方
| 炎症の状態 | 推奨されるリハビリ | 避けるべきこと |
|---|---|---|
| 急性炎症期 (腫れ・熱感強い) |
ROM訓練(痛みない範囲) 寒冷療法・安静 |
筋力強化・有酸素運動 温熱療法 |
| 亜急性期 (炎症が落ち着いてきた) |
ROM訓練・等尺性運動 温熱療法・TENS |
高負荷の筋力強化 激しい有酸素運動 |
| 慢性期・安定期 | 全種類のリハビリ可能 有酸素運動・筋力強化 |
痛みが出る動作は中止 |
自宅でできるリハビリ
手・指のストレッチ(毎日5〜10分)
- 指を全部伸ばしてグーパーを繰り返す(10回×3セット)
- 親指と各指でOKサインを作る
- 手首を前後・左右にゆっくり動かす
- お湯の中で行うとさらに効果的(朝のこわばりに)
肩・首のストレッチ
- 肩をゆっくり前後に回す(各10回)
- 首を左右にゆっくり傾ける(頸椎病変がある方は医師に確認)
- 両腕を頭上に伸ばして深呼吸
下肢の筋力強化
- 太もも上げ(脚上げ運動):椅子に座って膝を伸ばし5秒キープ→おろす(各10回)
- 踵上げ:立位でゆっくり踵を上げ下げする(10回×3セット)
- 椅子スクワット:椅子から立つ→座るをゆっくり繰り返す
理学療法士・作業療法士への相談
自己流のリハビリは関節を傷める可能性があります。主治医にリハビリテーション科への紹介を依頼することをおすすめします。
- 理学療法士(PT):運動機能・歩行・体幹の専門家
- 作業療法士(OT):日常生活動作・手の機能・自助具の専門家
- 保険適用でリハビリを受けられる(医師の処方が必要)
- 在宅リハビリ・訪問リハビリも利用可能
リハビリを続けるためのコツ
- 「痛みが出ない範囲で」が大原則。無理は禁物
- 毎日少しずつ継続することが大切(週1回多くやるより毎日少しずつ)
- 日常生活の中に組み込む(朝の準備中・入浴後など)
- 疾患活動性が上がった時は無理せず休む
- 達成感を記録する(日記・アプリ)
まとめ
- リハビリは薬物療法と並ぶリウマチ治療の重要な柱
- ROM訓練・筋力強化・有酸素運動・物理療法・作業療法を組み合わせる
- 炎症の強さに応じてリハビリの内容を調整する
- 自宅での毎日のストレッチ・筋トレが機能維持の基本
- 無理せず継続することが最も重要。主治医・理学療法士に相談しながら進める

