寒い季節に手指が白や紫に変色して、しびれや痛みを感じたことはありませんか?それはレイノー現象かもしれません。膠原病(強皮症・MCTD・SLEなど)の患者さんに多くみられる症状ですが、膠原病のない方にも起こります。この記事では、レイノー現象の原因・症状・対処法について、リウマチ膠原病内科専攻医がわかりやすく解説します。
レイノー現象とは?
レイノー現象(Raynaud’s phenomenon)とは、寒さや精神的なストレスをきっかけに、手指(まれに足趾や耳など)の血管が過剰に収縮し、血流が著しく低下する現象です。
典型的には「三相性変色」と呼ばれる白(蒼白)→青紫(チアノーゼ)→赤(再灌流)の変化がみられますが、すべての方に三段階が揃うわけではなく、二相性や単相性のこともあります。
患者さん


一次性と二次性:2種類のレイノー現象
レイノー現象には大きく分けて2種類あります。一次性か二次性かの判断は医師が行うものです。自己判断はせず、まずは医療機関を受診してください。
一次性レイノー現象(レイノー病)
基礎疾患がなく、レイノー現象のみがみられる場合を指します。15〜30歳の若い女性に多く、症状は比較的軽いことが多いです。冬の冷えで起こり、温まれば改善するタイプです。組織壊死には至らないのが一般的ですが、「症状が軽いから大丈夫」と自己判断せず、一度は医師の診察を受けることをおすすめします。
二次性レイノー現象(レイノー症候群)
何らかの基礎疾患に伴うレイノー現象です。一次性より症状が強く、指先の潰瘍や壊死を引き起こすこともあります。関連する疾患としては以下があります。
- 強皮症(全身性強皮症):90%以上に合併し、最も重症化しやすいです
- 混合性結合組織病(MCTD):ほぼ全例に合併するとされています
- SLE(全身性エリテマトーデス)
- シェーグレン病
- 関節リウマチ
- 振動工具の使用(職業性)、動脈硬化、一部の薬剤の副作用などが原因となることもあります
レイノー現象の症状
典型的な発作の流れは以下の通りです。
- 白色期:血流が低下し、指先が白く(蒼白に)なります。しびれや冷感を伴うことが多いです
- 青紫色期:酸素が少なくなった血液が滞留し、指先が青紫色(チアノーゼ)になります
- 赤色期:血流が再開すると、血管が拡張して指先が赤くなります。灼熱感や疼痛を伴うことがあります
発作は数分から20〜30分程度続くことが多く、温めると改善します。二次性の場合は発作が強く、長引くことがあります。
受診の目安:こんな症状があれば膠原病の検索を
以下のような症状が伴う場合は、単純な冷え性ではなく膠原病が隠れている可能性があります。一度リウマチ・膠原病内科または内科を受診されることをおすすめします。
- 指先の皮膚が硬くなってきた(強皮症の疑い)
- 関節の痛みや腫れを伴う
- 口や目の乾燥がひどい(シェーグレン病の疑い)
- 顔に蝶形紅斑(鼻を中心とした蝶々形の赤み)がある(SLEの疑い)
- 指先に潰瘍や壊疽ができた
- 若い頃から症状がある・悪化している
手指の色調変化が繰り返し起こる場合は、自己判断せず早めに医療機関(内科・リウマチ科)を受診してください。
レイノー現象の検査
レイノー現象を訴えて受診された場合、以下のような検査が行われることがあります。
- 血液検査:抗核抗体(ANA)・抗トポイソメラーゼI抗体・抗セントロメア抗体・抗U1RNP抗体など、膠原病に関連する自己抗体を確認します
- 毛細血管顕微鏡検査(キャピラロスコピー):爪の根元の毛細血管を拡大観察し、二次性かどうかの鑑別に有用です
レイノー現象の治療・対処法
生活習慣の工夫(まず試してほしいこと)
- 手袋・カイロを使って手指を温めること
- 全身を温めること(手だけでなく体幹を冷やさない)
- 冷たい水への急な接触を避けること
- 禁煙(喫煙は血管収縮を悪化させます)
- ストレス管理(精神的緊張も発作を誘発します)
- カフェインを過剰に摂らないこと
薬物療法
生活指導だけでは対応が難しい場合、血管を広げる薬剤(カルシウム拮抗薬など)が使用されることがあります。どのような薬が適切かは患者さんの状態・基礎疾患によって異なりますので、詳細は必ず主治医にご確認ください。






まとめ
レイノー現象は「冷えで指が白くなる」という一見軽そうな症状ですが、背景に膠原病が隠れていることがあります。特に強皮症・MCTD・SLE・シェーグレン病では高頻度に合併するため、これらの疾患を診断する上でも重要なサインです。
「指が白くなるのは体質だから」と見過ごさず、気になる症状があればぜひ専門医にご相談ください。

