「そろそろ離乳食を始める時期かな?」と思いながら、何から始めればいいのかわからなくて不安に感じているママ・パパは多いと思います。
離乳食は生後5〜6か月ごろにスタートするのが目安です。でも「いきなりご飯をあげていいの?」「アレルギーが心配…」「何をどれくらい食べさせればいい?」と迷いますよね。
この記事では、厚生労働省・こども家庭庁の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年版)」をベースに、内科医ママの視点で離乳食の始め方・進め方・注意点をわかりやすく解説します。
離乳食はいつから?始める時期の目安
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、離乳食の開始は生後5〜6か月ごろが目安とされています。実際には「生後6か月」での開始が最も多いというデータがあります。
ただし、月齢だけで機械的に決めるのではなく、赤ちゃんのサインを見ながら始めることが大切です。
離乳食を始めるサイン(4つ全部揃ったら準備OK)
- 首がしっかりすわっている
- 支えると安定して座れる
- 大人が食べているのを見て興味を示す(口をもぐもぐ動かす、よだれが増える)
- スプーンを口に入れても舌で押し出さなくなる
患者さん
子育て内科医4か月より早い開始はNG
以前は「3〜4か月から」と言われた時代もありましたが、現在のガイドラインでは4か月より早い開始はすすめられていません。消化器が未熟であること、食物アレルギーリスクの観点からも早すぎる開始は避けましょう。
7か月以降まで遅らせるのもNG
7か月以降まで開始を遅らせることも推奨されていません。鉄分不足や食物アレルギーリスクの観点から、遅くとも6か月台には開始するのが理想的です。「アレルギーが怖いから遅らせよう」という判断は現在では否定されています。
最初の一口:初日の離乳食
いよいよ初日!何をあげればいいのでしょうか。
10倍がゆ(すりつぶしたおかゆ)からスタート
最初の食材はなめらかにすりつぶした「10倍がゆ」が基本です。
10倍がゆとは、お米1に対して水10で炊いたおかゆを、さらに裏ごしかブレンダーでなめらかにペースト状にしたものです。ポタージュスープより少し固い程度のとろとろとした状態が目安です。
量は「小さじ1杯(5ml)」から
初日はほんの小さじ1杯(5ml)から。食べさせることが目的ではなく、「食べることへの慣れ・口から飲み込む体験」が目的です。ほとんど口から出てきても大丈夫です。焦らずに!
時間帯は「午前中」がおすすめ
万が一アレルギー反応が出た場合に受診できるよう、最初の離乳食は午前中(かかりつけ小児科が開いている時間帯)に与えましょう。これは初めての食材を試すときの基本ルールとして覚えておいてください。
患者さん
子育て内科医離乳初期(生後5〜6か月:ゴックン期)
この時期の目標
口から「ゴックン」と飲み込む練習をする時期です。食べる量は少なくてOK。「食べ物を口に入れて飲み込む体験」を大切にしましょう。
食事の回数・量の目安
- 回数:1日1回
- 量(1回あたり):最終的に子ども茶碗(50g)程度のおかゆ+野菜少々
食べていいもの(離乳初期)
| 食品 | 形状 |
|---|---|
| おかゆ(10倍がゆ) | なめらかにすりつぶす |
| 野菜(にんじん・かぼちゃ・ほうれん草など) | なめらかなペースト |
| 豆腐 | なめらかにすりつぶす |
| 白身魚(たら・ひらめなど) | 1〜2週間後に(すりつぶし) |
この時期のNG食品
- 蜂蜜(はちみつ):1歳未満は絶対NG!ボツリヌス症のリスクがあります
- 砂糖・塩・しょうゆなどの調味料
- 生もの(刺身など)
離乳中期(生後7〜8か月:モグモグ期)
この時期の目標
舌と上あごを使って食べ物をモグモグとつぶす練習をします。食事の回数も1日2回に増えます。
食事の回数・量の目安
- 回数:1日2回
- 量(1回あたり):全がゆ(7倍がゆ)50〜80g+野菜・果物20〜30g+たんぱく質(豆腐・魚・肉)10〜15g
新しく試せる食材
- 鶏ひき肉・しらす(塩抜きして使う)
- 卵黄(初めての場合は小さじ1/4から。固ゆで卵の黄身を使う)
- ヨーグルト・チーズ(プレーン・無塩タイプ)
- バナナ・いちごなどの果物
- うどん(塩分を洗い流して)
食材の固さの目安
豆腐くらいの固さ(指で押せばつぶれる)が目安です。
患者さん
子育て内科医離乳後期(生後9〜11か月:カミカミ期)
この時期の目標
歯茎でカミカミする練習をします。手づかみ食べも始まり、自分で食べる意欲が高まる時期です。
食事の回数・量の目安
- 回数:1日3回+補食(おやつ)
- 量(1回あたり):全がゆ(5倍がゆ)90g+野菜・果物30〜40g+たんぱく質15〜20g
食材の固さの目安
バナナくらいの固さ(歯茎でつぶせる)が目安です。
手づかみ食べを応援しよう
この時期は赤ちゃんが自分で食べようとする本能が育ちます。汚れることを恐れず、ぜひ手づかみ食べをさせてあげましょう。口の周りが汚れてもOK!自分で食べる力を育てる大切な経験です。
離乳完了期(生後12〜18か月:パクパク期)
この時期になると、大人と近い食事に移行します。
- 回数:1日3回の食事+補食1〜2回
- 固さ:やわらかい大人と同じ食事
- 味付けは薄め(大人の半分以下の塩分)を意識しましょう
「離乳完了」とは、母乳やミルクを栄養の主体としなくなる状態です。1歳以降も授乳を続けることは問題ありませんし、WHO(世界保健機関)は「少なくとも2歳まで、可能であればそれ以降も母乳育児を続けること」を推奨しています。
食物アレルギーへの正しい対応
「遅らせればアレルギーを予防できる」は誤り
以前は「アレルゲン食品の開始を遅らせることでアレルギーを予防できる」という考え方がありましたが、現在のガイドラインではこの考え方は否定されています。むしろ、適切な時期に少量ずつ導入することがアレルギー予防につながるとされています(2019年の「授乳・離乳の支援ガイド」および日本小児アレルギー学会の見解)。
新しい食材を試す3か条
- 1品ずつ(複数を同時に試さない)
- 少量(小さじ1/4〜1/2)から
- 午前中に試す(かかりつけ医が開いている時間帯)
特に注意が必要な食品(特定原材料等)と導入の目安
| 食品 | 開始の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 卵黄 | 生後7〜8か月 | 固ゆで卵の黄身を極少量から |
| 全卵(白身含む) | 生後9か月ごろ | 固ゆでにして |
| 小麦(うどん・パン) | 生後6か月ごろ | 塩分に注意、少量から |
| 牛乳(飲料以外で加熱) | 生後7〜8か月 | 飲料としては1歳以降 |
| ピーナッツ | 生後6か月ごろ | ペースト状で、必ず少量から |
| えび・かに | 生後9か月ごろ | 加熱必須、少量から |
こんな症状が出たら受診を
- 皮膚の赤み・じんましん(口周りや体全体)
- 唇や口腔内の腫れ
- 嘔吐・下痢
- ぐったりする・顔色が悪い・呼吸がおかしい → 即119番/救急受診(アナフィラキシーの可能性)
よくある疑問Q&A
Q:離乳食中も授乳は続けていいの?
A:はい。離乳食後も母乳やミルクを与えてOKです。1歳以降も本人が希望すれば授乳を続けることは問題ありません。
Q:全然食べてくれません。どうすればいい?
A:個人差があります。最初は食べない日が続いても正常です。1〜2週間かけてゆっくり進めましょう。嫌がる場合は数日間中断してから再開してもOKです。
Q:市販のベビーフードを使っていい?
A:もちろんOKです。衛生的で栄養バランスも計算されています。手作りと組み合わせて無理なく続けましょう。
Q:水やお茶は与えていい?
A:離乳食開始後は、白湯や麦茶(砂糖なし)を少量与えてOKです。果汁は甘さへの好みがつきやすいため、積極的に与える必要はありません。
Q:鉄分が不足しているか心配です。
A:生後6か月以降は母乳だけでは鉄分が不足しがちです。離乳食で赤身肉(ひき肉)・魚・豆腐などを積極的に取り入れましょう。心配な場合はかかりつけ医に血液検査を相談してみてください。
患者さん
子育て内科医まとめ
- 離乳食の開始は生後5〜6か月ごろ(4か月以前はNG・7か月以降も遅らせないように)
- 最初は10倍がゆ小さじ1杯から、午前中に始める
- 段階(初期→中期→後期→完了期)に応じて固さ・量・回数を増やす
- 新しい食材は1品ずつ・少量・午前中のルールで
- 蜂蜜は1歳未満は絶対NG
- 食物アレルギーの開始を遅らせない(むしろ適切な時期に少量から始める)
離乳食は「完食」が目的ではありません。「食べることを楽しい体験にすること」が一番大切です。焦らず、赤ちゃんのペースに合わせて進めましょう。
最終的な判断や不安なことは、かかりつけの小児科医・かかりつけ医にご相談ください。
