「赤ちゃんの予防接種って、何をいつ打てばいいの?」「種類が多くて頭が混乱します…」——0歳の赤ちゃんを持つパパ・ママから、とても多くいただく疑問です。
実は、0歳から1歳にかけて受けるワクチンの数は非常に多く、半年間で15回以上の接種が必要なこともあります。でも、これには大切な理由があります。赤ちゃんが感染症で一番重篤化しやすい時期こそが生後早期だからです。
この記事では、内科医でもあり0歳の子どもを持つ母でもある私が、2026年最新版の定期予防接種スケジュールをわかりやすく解説します。月齢ごとのスケジュール表から、同時接種のこと、よくある疑問まで丸ごとお伝えします。
患者さん


なぜ生後2か月からワクチン接種が始まるのか
赤ちゃんは生まれながらに免疫を持っていない
赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる間、胎盤を通じて母親の抗体(免疫)を受け取ります。しかしこの「もらった免疫」は生後数か月で急速に失われていきます。
特に百日せき(百日咳)の抗体は生後早期から減り始め、生後2〜3か月頃には感染しやすい状態になります。百日せきは生後6か月未満の赤ちゃんでは重篤化しやすく、死亡例も報告されています。だからこそ、生後2か月(日齢58日)からのワクチン接種が強く推奨されているのです。
「ワクチンデビュー」は生後2か月の誕生日
日本小児科学会(2026年4月最新版)では、「ワクチンデビューは生後2か月の誕生日」と推奨しています。2か月の誕生日を迎えたその日から接種できます。早めに始めることが赤ちゃんの安全につながります。
2026年版・0歳の定期予防接種スケジュール一覧
下の表は、日本小児科学会が推奨する2026年4月版スケジュールをもとにまとめたものです。
| 月齢目安 | 接種するワクチン | 接種回数・備考 |
|---|---|---|
| 生後2か月〜 | 五種混合(DPT-IPV-Hib) | 初回①(合計4回) |
| 小児用肺炎球菌(PCV) | 初回①(合計4回) | |
| B型肝炎 | ①(合計3回) | |
| ロタウイルス(飲むワクチン) | ①(1価:2回、5価:3回) | |
| 生後3か月〜 | 五種混合、肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルス | 2回目 |
| 生後4か月〜 | 五種混合、肺炎球菌、ロタウイルス(5価の場合) | 3回目 |
| 生後5か月〜 | BCG(結核) | 1回のみ(3〜6か月が推奨) |
| B型肝炎 | 3回目(生後7〜8か月頃まで) | |
| 生後7〜8か月 | 五種混合、肺炎球菌 | 追加(3回目の基礎免疫完成) |
| 生後12か月〜 | MRワクチン(麻疹・風疹混合) | 第1期① |
| 水痘(みずぼうそう) | ①(12〜15か月) | |
| おたふくかぜ(任意接種) | ①(12か月〜) | |
| 生後15〜18か月 | 五種混合(追加)、肺炎球菌(追加4回目) | 追加接種で免疫強化 |
| 水痘② | 1回目から6か月以上あけて |
※インフルエンザワクチンは生後6か月から毎年接種推奨(任意接種)
月齢別のポイントを詳しく解説
生後2〜4か月:ワクチンデビューと最も忙しい時期
生後2か月の誕生日に4種類のワクチンを同時接種します。
- 💉 五種混合(DPT-IPV-Hib):注射
- 💉 小児用肺炎球菌:注射
- 💉 B型肝炎:注射
- 👄 ロタウイルス:口から飲む(経口ワクチン)
注射は最大3本同時に打ちます。「こんなに一度に打って大丈夫?」と心配になりますが、同時接種は安全性が確認されており、早く免疫をつけるために必要なことです。
その後、生後3か月・4か月と、ほぼ月1回のペースで追加接種を行います。
生後5〜6か月:BCGの接種
BCG(結核の予防接種)は生後3〜6か月の間に接種します。日本では公費で受けられる定期接種です。管内に9本の針が刺さる「スタンプ式」で接種します。
BCGは生ワクチンのため、他の生ワクチン(MR・水痘など)との接種間隔に注意が必要です。生ワクチン同士は4週間以上あける必要があります。
生後7〜8か月:基礎免疫の完成へ
五種混合・肺炎球菌の3回目の接種で、基礎免疫がほぼ完成します。B型肝炎も3回目の接種をこの時期に行います(1回目から5か月以上あけることが重要)。






生後12か月〜:MR・水痘・おたふくかぜ
1歳の誕生日を迎えたらすぐに、MRワクチン(麻疹・風疹)と水痘ワクチンの接種を開始します。
麻疹(はしか)は感染力が非常に強く、0〜1歳での感染は重症化リスクが高いです。1歳になったらできるだけ早く接種することを日本小児科学会は強く推奨しています。
おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンは現在任意接種ですが、難聴などの合併症リスクを考えると積極的な接種をお勧めします。
同時接種について——安全?なぜ必要?
同時接種は安全で推奨されている
1回の受診で複数のワクチンを同時に接種することを「同時接種」といいます。日本では以前は1回に1種類が主流でしたが、現在は同時接種が標準的です。
同時接種が安全である理由:
- 体の免疫システムは一度に何千もの抗原を処理できる能力がある
- アメリカやヨーロッパでは数十年前から実施されており、安全性が確立されている
- 日本小児科学会も「積極的に同時接種を」と推奨している
同時接種のメリット
- 早く免疫がつく:感染症から早く守られる
- 通院回数が減る:赤ちゃんとパパ・ママの負担が軽くなる
- 接種忘れを防ぐ:スケジュール管理がシンプルになる
2026年の新しいポイント:RSウイルスワクチン
2026年4月の日本小児科学会推奨スケジュール更新で、RSウイルス母子免疫ワクチンについて新たに記載が追加されました。
- 妊娠28週0日〜36週6日の妊婦への定期接種
- 妊娠24週0日〜27週6日の妊婦への任意接種
このワクチンはお母さんが接種することで、生まれた赤ちゃんにRSウイルスへの抗体が伝わる仕組みです。RSウイルスは0歳、特に早産・低出生体重の赤ちゃんで重症化しやすいウイルスで、細気管支炎や肺炎の主な原因のひとつです。
現在妊娠中の方は、かかりつけの産婦人科や自治体の情報を確認してみてください。






予防接種後の注意点
接種当日
- 接種後は30分間は医療機関で様子を見る(アナフィラキシーの早期対応のため)
- 入浴は可能だが、接種部位を強くこすらない
- 激しい運動・水泳は控える
よくある反応(正常の範囲)
- 注射部位の発赤・腫れ・硬結:数日で自然に消える
- 微熱〜発熱(37.5〜38℃台):接種後1〜2日で治まることが多い
- 機嫌が悪い・ぐずる:よくあること。授乳やスキンシップで落ち着かせて
受診が必要な場合
- 38.5℃以上の高熱が続く
- 腫れが著しく広がる・化膿する
- ぐったりして飲めない・眠れない
- じんましんや顔色の変化、呼吸の異常(アナフィラキシーの疑い:すぐに救急へ)
予防接種に関するよくある質問Q&A
Q. 風邪気味でも予防接種は受けられる?
A. 鼻水や軽い咳程度で熱がなく、機嫌がよければ多くの場合接種可能です。ただし最終的な判断は接種当日の医師の診察によります。受診前に電話で確認しておくと安心です。
Q. ロタウイルスワクチンは絶対受けなければいけない?
A. 定期接種として無料で受けられますが、法律的には「義務」ではありません。ただし、ロタウイルス感染症による重症下痢・脱水は0〜1歳で特に危険です。接種することを強くお勧めします。なお、接種できる月齢の上限があり(1価は生後14週6日まで、5価は生後15週0日まで)、この期間を過ぎると接種できなくなるため注意が必要です。
Q. 早産・低出生体重児の場合は?
A. 早産児も修正月齢ではなく実際の生後月齢(日齢)に基づいて接種します。体が小さくても、感染のリスクはむしろ高いので、スケジュール通りの接種が重要です。担当の小児科医に相談しましょう。
Q. 有料(任意接種)と無料(定期接種)の違いは?
A. 定期接種は法律に基づき市区町村が費用を負担します(原則無料)。任意接種は自己負担ですが、自治体によっては一部助成されます。おたふくかぜ・インフルエンザ・おたふくかぜ・A型肝炎などが任意接種にあたります。
Q. 接種券や母子手帳は何を準備すればいい?
A. 予防接種を受けるときは以下を持参します。
- 母子健康手帳(毎回必須)
- 自治体から送られる予防接種の予診票・接種券
- 健康保険証(念のため)
- 当日の体温(あらかじめ測っておくとスムーズ)
まとめ
- ワクチンデビューは生後2か月の誕生日。五種混合・肺炎球菌・B型肝炎・ロタウイルスを同時接種
- BCGは生後3〜6か月(主に5か月頃)、MR・水痘は1歳になったらすぐ
- 同時接種は安全で推奨されている。早く免疫をつけることが赤ちゃんの命を守る
- 2026年新規:RSウイルス母子免疫ワクチン(妊娠中のお母さんが接種)
- ロタウイルスワクチンは接種できる月齢上限があるため、早めに確認と接種を
- 接種後の発熱・腫れは多くの場合正常反応。ぐったりする・高熱が続くときは受診を
予防接種は赤ちゃんに与えられる最初の「贈り物」のひとつです。不安な気持ちはよくわかりますが、感染症から守るための大切な医療行為です。スケジュール管理にはかかりつけ小児科の先生や市区町村の保健師さんも頼ってください。
予防接種の個別のご判断については、必ずかかりつけ医・かかりつけ小児科に相談してください。

