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赤ちゃんの夜泣き・睡眠退行とは?月齢別の原因と対処法を内科医ママが解説

「やっと寝たと思ったら1時間後にまた泣き出す」「毎晩何度も起こされてもう限界……」——赤ちゃんの夜泣きに悩んでいるパパ・ママは本当に多いです。赤ちゃんの夜泣きは、多くの場合発達の過程で起こる自然なことですが、時期によって原因や対処法は異なります。

この記事では、内科医ママ(=私)の視点で、生後0〜12か月の月齢別の夜泣きの原因、安全な睡眠環境のポイント(SIDS予防)、そして今夜から試せる対処法まで、最新の日本小児科学会・こども家庭庁の情報をもとにわかりやすく解説します。

目次

夜泣きとは?普通のぐずりとの違い

夜泣きとは、夜間に赤ちゃんが突然大きな声で泣き出し、なかなか泣き止まない状態のことを指します。「お腹が空いた」「おむつが濡れた」など明確な理由がわかる「ぐずり泣き」とは違い、原因がはっきりしないことが多いのが特徴です。

  • 一般的に生後3〜4か月頃から始まり、1歳半ごろまで続くことが多い。
  • 約7割の赤ちゃんが夜泣きを経験するが、残り約3割は夜泣きをほとんどしない。
  • 夜泣きの頻度・激しさには個人差が大きく、「うちの子だけひどい」と思わなくて大丈夫。
患者さん
毎晩3〜5回起きるのですが、こんなに多いのは何か病気なんでしょうか?
子育て内科医
月齢や時期によっては、それくらい起きることは珍しくないですよ。ただし、高熱がある・ぐったりしているなどの症状があれば受診が必要です。記事の後半に「受診のサイン」もまとめているので参考にしてください。

月齢別!夜泣きの原因を知ろう

生後0〜2か月(新生児〜低月齢期)

この時期の赤ちゃんの泣きは、夜泣きというより生理的な欲求によるものがほとんどです。

  • お腹が空いた:新生児の胃は小さく、母乳・ミルクは2〜3時間ごとに必要。夜間も同様。
  • おむつが濡れた・汚れた:皮膚が敏感なため、少しの不快感でも泣く。
  • 暑い・寒い・抱っこして欲しい:体温調節機能が未熟。室温・寝具の温度を確認。
  • コリック(黄昏泣き):夕方〜夜に数時間泣き続けることがある。生後3か月ごろには自然におさまることが多い。

この月齢では、夜中に授乳・おむつ替えをすることは正常な発達のプロセスです。「夜は長く眠らせなければ」とプレッシャーを感じる必要はありません。

生後3〜4か月(睡眠退行期・第1ターニングポイント)

多くの保護者が「突然夜泣きがひどくなった」と感じるのがこの時期です。その正体が「4か月睡眠退行」です。

生後3〜4か月になると、赤ちゃんの脳が発達し、睡眠構造が大人に近いレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)のサイクルへと変化します。このサイクルは約45〜50分で1周し、サイクルの変わり目(浅い眠りに移行する瞬間)に目覚めやすくなります。

  • 以前は授乳するとすぐ寝ていたのに、置くと泣く・抱っこじゃないと寝ないなどの変化が起きる。
  • この時期の睡眠退行は発達の証であり、数週間〜2か月ほどで少し落ち着いてくることが多い。
  • 親が「授乳・抱っこで寝かせる」ことを繰り返すと、それが「眠りにつく条件」として定着してしまうことも。

生後5〜7か月

この時期は日中の活動が増え、睡眠が少し安定してくる子も出てきます。一方で以下の要因で夜泣きが出ることも。

  • 歯が生え始める(歯ぐずり):生後6か月前後から下の前歯が生え始め、歯茎のむず痒さで夜泣きが増えることがある。
  • 離乳食開始による消化の変化:生後5〜6か月から始まる離乳食で、お腹の具合が変わることがある。
  • 昼寝のリズムが変化する:活動時間が増え、夕方に眠くなりすぎて夜の睡眠が乱れることも。

生後8〜12か月(第2次睡眠退行・分離不安期)

生後8〜10か月ごろに再び夜泣きが増えることがあります。これが「8〜10か月睡眠退行」で、主な原因は分離不安認知・運動発達のスパートです。

  • 分離不安:「いなくなったものはなくならない(物の永続性)」という概念が芽生え、ママ・パパがいないと不安になる。夜中に目覚めると「一人だ!」と感じてパニックになって泣く。
  • ハイハイ・つかまり立ちの練習:運動発達が著しいこの時期、脳が活発に動いて眠りが浅くなることがある。
  • 後追い:昼間もずっとくっついていようとするため、夜間も同じ行動が出る。

この時期の対策は、「昼間にたくさんスキンシップをとる」「就寝ルーティンを整える」ことが効果的です。

赤ちゃんの安全な睡眠環境——SIDS(乳幼児突然死症候群)を防ぐために

夜泣き対策の前に、まず安全な睡眠環境を整えることが最重要です。2024年に改訂された「こども家庭庁リーフレット」と「日本小児科学会の見解(2025年)」をもとに解説します。

SIDS(乳幼児突然死症候群)とは、健康だった赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなってしまう疾患で、原因が特定できないものです。令和6年には国内で55名の乳児がSIDSで亡くなっており、乳児期の死亡原因の第3位となっています(こども家庭庁)。

安全な睡眠環境の5つのポイント

  1. 必ずあおむけに寝かせる:うつぶせ寝はSIDSの最大のリスク因子。医師から指示がある場合を除き、あおむけで寝かせる。
  2. 硬くて平らな寝具を使う:柔らかいクッション・傾斜のある寝具は窒息リスクがある。ベビー専用の硬めのマットレスを使う。
  3. 1歳まで掛け布団は使わない(目安):スリーパーで体温調節する。日本小児科学会は適切な監視のできない家庭では生後2〜3か月〜12〜13か月の使用を慎重にするよう提言。
  4. 部屋は同室、ベッドは別々に:親と同じ部屋(同室)で寝ることはSIDSリスクを下げるが、同じ布団・ベッドでの添い寝(同床)は窒息リスクが上がる。
  5. 煙草の煙にさらさない:妊娠中・出産後の受動喫煙はSIDSのリスクを大幅に高める。
患者さん
添い寝しながら授乳してそのまま寝てしまうことが多くて……。ダメだとわかっていても、疲れてしまって。
子育て内科医
夜間授乳の疲れは本当に大変ですよね。添い寝授乳後は、眠ってしまう前に赤ちゃんをベビーベッドやお布団に戻すことが理想ですが、完璧にはいかない場面もあると思います。家族に交代してもらえる環境を作ることも大切なサポートです。

夜泣きの対処法・寝かしつけのコツ

今夜から試せる5つのこと

  1. 就寝ルーティンを作る
    「お風呂→授乳→絵本→おやすみ」など毎日同じ流れを作る。脳が「この流れのあとは眠る時間」と学習し、眠りにつきやすくなる。
  2. 寝室の環境を整える
    室温は夏26〜28℃・冬20〜22℃が目安。照明は暗くし(豆電球程度)、騒音を減らす。ホワイトノイズ(扇風機の音・ザーという音)が効く子もいる。
  3. 昼間の活動を増やす
    昼間にたくさん動かして(外気浴・ベビーマッサージ・声かけ)、昼夜のリズムをしっかりつける。夕方以降の長昼寝は翌夜の睡眠に影響することがある。
  4. 泣いてもすぐ抱き上げない「見守り」時間を作る(月齢に応じて)
    生後6か月以降で成長・発達が順調なら、少し泣かせて自分で眠れるか見守る時間を設けることも選択肢のひとつ。いわゆる「ねんねトレーニング」(睡眠トレーニング)。ただし新生児〜低月齢では推奨されない。
  5. 昼間のスキンシップを増やす
    特に分離不安が出る生後8か月以降は、昼間にたっぷり抱っこ・スキンシップをとることで「昼間はそばにいてくれる」という安心感を与える。

やってはいけないこと

  • 泣き止ませるために激しく揺さぶらない:乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)は脳に重大な損傷を与える危険がある。
  • 生後6か月未満に哺乳瓶に砂糖水を入れる:推奨されない。
  • 夜中に授乳をしていつも照明を明るくする:強い光は脳を覚醒させ、昼夜のリズムが乱れる。

こんなときは受診を!病気が原因の泣きのサイン

夜泣きのほとんどは発達上の正常なプロセスですが、以下のサインがあるときは医療機関の受診を検討してください

症状 考えられる原因 対応
発熱(38℃以上)がある 感染症(風邪・中耳炎・尿路感染症など) 小児科受診
機嫌が極端に悪い・ぐったりしている 重篤な感染症・腸重積など 早めに受診、夜間は救急も
腹部が張っている・嘔吐を繰り返す 腸重積・腸炎など 早急に受診
耳を頻繁に触る・耳だれがある 中耳炎 小児科・耳鼻科受診
体重増加不良・母乳・ミルクをあまり飲まない 低栄養・疾患 1か月健診・4か月健診などで相談
夜泣きが突然非常に激しくなり、間欠的に激しく泣く 腸重積(特に生後3か月〜2歳) すぐに救急受診

特に腸重積(ちょうじゅうせき)は赤ちゃんに多い重要な疾患です。「突然激しく泣く→少し落ち着く→また激しく泣く」という間欠的な激しい泣きが特徴で、放置すると腸が壊死する危険があります。この泣き方のパターンがあれば迷わず救急へ。

まとめ

  • 夜泣きは多くの場合、成長・発達に伴う正常なプロセスで、生後3〜4か月と8〜10か月ごろに特に多くなる。
  • 4か月睡眠退行は睡眠構造の変化、8〜10か月退行は分離不安・認知発達が主な原因。
  • 夜泣き対策より先に、安全な睡眠環境(SIDS予防)を整えることが最優先。あおむけ・硬い寝具・同室別床が基本。
  • 就寝ルーティンを作り、昼間のスキンシップ・活動を増やし、昼夜のリズムを整えることが効果的。
  • 高熱・ぐったり・間欠的な激しい泣き(腸重積を疑う)は速やかに受診を。

赤ちゃんの夜泣きは、親にとって本当に心身ともに消耗します。「いつか必ず終わる」と知っていても、真夜中にひとりで対応する苦しさは言葉では言い表せません。パートナーや家族、地域の保健師さんへのサポートを求めながら乗り越えてください。夜泣きの対処法や受診の判断については、かかりつけの小児科医に気軽に相談してください。

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