患者さん先生に「寛解を目指しましょう」と言われました。寛解ってどういう状態ですか?



寛解とは炎症がほぼない状態です。関節リウマチの治療は今や「寛解」を目標にする時代です。詳しく解説します。
目次
関節リウマチの治療目標「T2T」とは
T2T(Treat to Target:目標達成に向けた治療)とは、明確な治療目標(寛解または低疾患活動性)を設定し、達成するまで治療を調整し続けるという戦略です。2010年に国際タスクフォースが提唱し、現在の標準的な治療戦略となっています。
- 第一目標:寛解(Remission)
- 代替目標:低疾患活動性(LDA)(高齢・長期罹患例など)
- 目標未達成の場合、3〜6ヶ月ごとに治療を見直す
「寛解」とはどんな状態?
寛解とは炎症がほぼ消失し、関節破壊の進行が止まった状態です。症状が完全になくなるわけではないこともありますが、日常生活に支障のないレベルを目指します。
- 関節の腫れ・痛みがほぼない
- 朝のこわばりがほとんどない
- 血液検査(CRP・ESR)が正常または軽度上昇
- 画像上で関節破壊が進行していない
寛解の判定基準
ACR/EULAR寛解基準(Boolean基準)
以下の4項目をすべて満たす:
- 圧痛関節数(TJC28)≦1
- 腫脹関節数(SJC28)≦1
- CRP≦1mg/dL
- 患者による疾患活動性評価(PtGA)≦1(0〜10スケール)
SDAI(簡易疾患活動性指標)による基準
- 寛解:SDAI≦3.3
- 低疾患活動性:SDAI≦11
- 中等度疾患活動性:SDAI≦26
- 高疾患活動性:SDAI>26
DAS28(疾患活動性スコア)
- 寛解:DAS28<2.6
- 低疾患活動性:DAS28≦3.2
- 28関節の圧痛・腫脹数、炎症マーカー、患者VASから算出
寛解を達成するとどうなる?
- ✅ 関節破壊(骨びらん)の進行が止まる
- ✅ 日常生活・仕事への支障が最小化される
- ✅ 長期的な身体機能が維持される
- ✅ 心血管疾患リスクが低下する
- ✅ 薬剤の減量・中止(薬物フリー寛解)を目指せる
薬物フリー寛解(薬をやめられる?)
長期間寛解を維持できた場合、段階的な薬剤減量・中止(薬物フリー寛解)を試みることがあります。ただし:
- 再燃リスクがあるため慎重な経過観察が必須
- リウマチ因子・抗CCP抗体陽性例では再燃しやすい
- 自己判断での服薬中止は絶対にしない
寛解が難しい場合
すべての患者が寛解に達するわけではありません。難治性・長期罹患・高齢例では低疾患活動性(LDA)を目標にすることも適切な選択です。目標を主治医と相談して設定しましょう。
まとめ
- T2Tは寛解・低疾患活動性を目標にした現代の標準治療戦略
- 寛解=炎症がほぼない状態。関節破壊が止まる
- DAS28・SDAI・Boolean基準など複数の評価指標がある
- 寛解を達成・維持することで長期的な予後が改善する
- 薬の減量・中止は主治医と相談のうえ慎重に行う

