患者さん骨粗鬆症があると骨折しやすいと聞きました。日常生活で気をつけることはありますか?



骨折予防には薬だけでなく、転倒対策・食事・運動など日常生活の工夫が非常に重要です。具体的に解説します。
目次
なぜ骨折予防が重要なのか
関節リウマチ・膠原病の患者さんは、炎症やステロイドの影響で骨が弱くなりやすく(骨粗鬆症)、一般の方より骨折リスクが高い状態にあります。特に問題になるのが以下の3つです。
- 椎体骨折(背骨の圧迫骨折):転倒しなくても起こることがある。背中の痛み・身長低下の原因に
- 大腿骨近位部骨折(股関節骨折):転倒による最も深刻な骨折。歩行困難・寝たきりのリスク
- 手首の骨折(橈骨遠位端骨折):転倒時に手をついて起こりやすい
骨折は日常生活の質(QOL)を大きく下げます。薬による治療と並行して、日常生活での予防策が欠かせません。
転倒予防が最重要
転倒しやすい状況を知る
- 朝のこわばりがある時間帯(起床直後)
- 夜間のトイレ(暗い・眠い)
- 濡れた床・浴室・階段
- 疲労時・痛みが強い時
- 薬の副作用(めまい・ふらつき)
自宅での転倒対策
- ✅ 浴室・トイレに手すりをつける(最優先)
- ✅ 段差をなくす・スロープにする
- ✅ 滑り止めマットを敷く(浴室・玄関・廊下)
- ✅ 夜間は足元ライトをつける
- ✅ コードや荷物を床に放置しない
- ✅ ゆったりした靴・スリッパを選ぶ(かかとのあるもの)
外出時の転倒対策
- 底が薄くない・滑りにくい靴を選ぶ
- 雨の日・凍結時は特に注意
- 杖・歩行器の活用を主治医・理学療法士に相談
- 荷物は両手がふさがらないようリュックが便利
骨を強くする食事
カルシウムを積極的に摂る
目標:1日700〜800mg(骨粗鬆症予防の推奨量)
- 乳製品:牛乳1杯(200ml)≒220mg、ヨーグルト1個≒120mg
- 小魚:シラス・ちりめん・煮干し
- 大豆製品:豆腐・納豆・厚揚げ
- 緑黄色野菜:小松菜・ブロッコリー・チンゲン菜
ビタミンDも一緒に摂る
ビタミンDはカルシウムの腸管吸収を助けます。
- 食事:鮭・サンマ・マグロ・きのこ類(干しシイタケ・エリンギ)
- 日光浴:1日15〜30分の日光浴(顔や手に)
骨を弱くする食習慣に注意
- 過度な塩分摂取(尿中カルシウム排泄増加)
- 過度な飲酒
- 喫煙(骨密度低下・骨折リスク増加)
- カフェインの過剰摂取
骨を強くする運動
骨に刺激を与える運動が効果的
骨は適度な負荷がかかることで強くなります。ただし関節への負担に配慮した運動選びが重要です。
- ウォーキング:関節への負担が少なく最も取り組みやすい。1日20〜30分を目安に
- 水中ウォーキング:浮力で関節への負担を減らしながら運動できる
- スクワット:膝・股関節周囲の筋力強化。痛みがない範囲で
- バランス練習:片足立ち(左右各1分)→転倒予防に効果的
⚠️ 関節炎が強い時期・痛みが強い時は無理をしないこと。主治医・理学療法士に相談を。
骨密度検査を定期的に受ける
- ステロイドを使用している方は年1回のDXA法(骨密度測定)を推奨
- 腰椎・大腿骨で測定
- 骨密度が低下していたら薬物治療を主治医と相談
- 椎体骨折は痛みなく起きることもあるため、定期的な背骨のX線も重要
介護保険・住宅改修の活用
手すりの設置・段差解消などの住宅改修は、介護保険を使うと最大20万円まで補助が受けられます(1割または2割負担)。主治医に相談のうえ、ケアマネジャーに問い合わせてみましょう。障害者手帳をお持ちの方は市区町村の補助制度も利用できます。
まとめ
- 骨折予防には転倒対策が最優先。自宅の環境整備から始めよう
- カルシウム(700〜800mg/日)+ビタミンD(食事・日光浴)を意識する
- ウォーキング・水中運動・バランス練習を無理のない範囲で継続する
- 年1回の骨密度検査で骨の状態を把握する
- 薬の治療(骨粗鬆症治療薬)については主治医と相談を

