患者さん


「難病と診断されたけれど、毎月の医療費が心配」「難病の申請ってどうすればいいの?」——膠原病・リウマチ疾患を診ていると、患者さんからよくこういったご相談を受けます。
指定難病の医療費助成制度を上手く活用することで、医療費の負担を大幅に軽減できます。
膠原病・リウマチの「難病指定」とは?わかりやすく解説
難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律、2015年施行)に基づき、国が指定した疾患です。2024年4月時点で341疾患が指定されており、2025年4月からは348疾患に拡大されています。
指定難病の要件
- 発病の機構が明らかでない
- 治療方法が確立していない
- 希少な疾患(患者数が人口の0.1%程度以下)
- 長期の療養が必要
難病指定される膠原病・リウマチの疾患一覧
膠原病・リウマチ疾患の多くが指定難病に含まれています。正確な難病番号は以下のとおりです。
| 難病番号 | 疾患名 |
|---|---|
| No.40 | 高安動脈炎(大動脈炎症候群) |
| No.43 | 顕微鏡的多発血管炎(MPA) |
| No.44 | 多発血管炎性肉芽腫症(GPA) |
| No.45 | 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA) |
| No.46 | 悪性関節リウマチ ※注意:通常の関節リウマチとは別(後述) |
| No.49 | 全身性エリテマトーデス(SLE) |
| No.50 | 多発性筋炎・皮膚筋炎(抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎を含む) |
| No.51 | 全身性強皮症(SSc) |
| No.52 | 混合性結合組織病(MCTD) |
| No.53 | シェーグレン症候群 |






⚠️ 「関節リウマチ」と「悪性関節リウマチ」は別物です
悪性関節リウマチ(No.46)は、既存の関節リウマチに血管炎をはじめとする関節外症状(肺・心臓・神経などの内臓障害)を伴い、難治性・重篤な臨床病態を示すものです。関節の機能低下だけでは該当しません。
難病指定を受けると医療費はいくら安くなる?
対象となる医療
- 認定された指定難病の治療に必要な医療費(薬代・検査費・入院費・外来費)
- 訪問看護・医療器具も対象に含まれる場合あり
- 受診は都道府県知事が指定した「指定医療機関」である必要があります
自己負担割合と上限額(月額・2024年度)
通常の保険診療では3割負担のところ、難病医療費助成では原則2割負担になり、さらに月額の自己負担上限が設定されます。
| 所得区分 | 月額上限(外来+入院) |
|---|---|
| 生活保護受給者 | 0円 |
| 低所得Ⅰ(市町村民税非課税・本人年収80万円以下) | 2,500円 |
| 低所得Ⅱ(市町村民税非課税) | 5,000円 |
| 一般所得Ⅰ(市町村民税所得割額が7.1万円未満) | 10,000円 |
| 一般所得Ⅱ(市町村民税所得割額が7.1万円〜25.1万円未満) | 20,000円 |
| 上位所得(市町村民税所得割額が25.1万円以上) | 30,000円 |
※所得区分の「7.1万円・25.1万円」は市町村民税所得割額(標準税率6%で計算)の基準です。
※入院時の食事療養費は一般の2分の1程度に軽減されます(所得区分により異なります)。
軽症でも対象になる場合(軽症高額)
重症度基準を満たさない軽症の方でも、申請前12ヶ月以内に月ごとの医療費総額(保険診療の10割分)が33,330円を超える月が3回以上ある場合は、「軽症高額」として助成対象になります。
難病指定の申請方法・必要書類・手順
- 主治医(難病指定医または協力難病指定医)に「臨床調査個人票」の作成を依頼
※「臨床調査個人票」は一般的な診断書とは異なります。難病指定医の資格を持つ医師でないと作成できません - 必要書類を揃える(臨床調査個人票・住民票・保険証のコピー・所得証明書など)
- 都道府県・指定都市の担当窓口に申請(保健所経由が多い)
- 審査(都道府県の指定難病審査会で判断)
- 認定されると「特定医療費(指定難病)受給者証」が交付(有効期限は原則1年、毎年更新が必要)






よくある質問(難病指定されない場合・申請のタイミングなど)
Q:申請してから認定まで、どのくらいかかりますか?
都道府県によって異なりますが、概ね2〜4ヶ月程度かかります。書類不備がある場合はさらに長くなることがあります。早めの申請をお勧めします。
Q:申請中の医療費はどうなりますか?(遡及適用について)
2023年10月1日施行の制度改正により、助成開始日が「申請日」から「重症度分類を満たしていると診断した日(臨床調査個人票の診断年月日)」へ前倒しできるようになりました。
- 原則:診断日から1ヶ月以内に申請すれば、診断日まで遡及可能
- やむを得ない理由(入院・体調不良等)がある場合は最長3ヶ月まで遡及可能
- 2023年10月1日より前の医療費は遡及対象外
Q:高額療養費制度との違いは?
- 高額療養費:病名を問わず、医療費が一定額を超えた場合に適用される制度
- 難病医療費助成:難病患者に特化した制度で、自己負担上限がより低く設定されている
- 難病医療費助成が適用されると自己負担額が低く抑えられるため、高額療養費の適用外になるケースが多いです
Q:毎年更新は必要ですか?
はい、毎年更新が必要です。更新時も臨床調査個人票の提出が必要です。有効期間は原則1年(最長1年3ヶ月)で、誕生月等により調整されることがあります。更新の連絡が届いたら早めに主治医に相談してください。
まとめ
- 指定難病の医療費助成では月額自己負担に上限が設けられ、高額な治療でも安心して続けられます
- SLE(No.49)・強皮症(No.51)・筋炎(No.50)・シェーグレン(No.53)など多くの膠原病が対象です
- 通常の関節リウマチは対象外。悪性関節リウマチ(血管炎などの内臓合併症あり)のみNo.46として対象
- 2023年10月の改正で診断日まで遡及申請が可能になりました(原則1ヶ月以内に申請を)
- 申請には難病指定医による臨床調査個人票が必要です。主治医に相談してみてください

