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多発性筋炎・皮膚筋炎とは?症状・診断・治療をリウマチ内科専攻医がわかりやすく解説

多発性筋炎・皮膚筋炎は、筋肉や皮膚に炎症が起こる自己免疫疾患です。指定難病に指定されており、早期診断・治療が予後を左右します。リウマチ内科専攻医がわかりやすく解説します。

患者さん
体に力が入らなくて、階段が上れなくなってきました…

子育て内科医
近位筋(肩・腰まわり)の筋力低下は多発性筋炎・皮膚筋炎の特徴的な症状です。早めに専門医を受診してください。

目次

多発性筋炎・皮膚筋炎とは?

多発性筋炎(PM:Polymyositis)と皮膚筋炎(DM:Dermatomyositis)は、筋肉に炎症が起こり筋力低下をきたす自己免疫疾患(炎症性筋疾患)です。皮膚筋炎では筋症状に加えて特徴的な皮膚症状を伴います。日本での患者数はPM・DM合わせて約2〜3万人とされ、指定難病に認定されています。女性にやや多く(男女比 約1:2)、30〜50歳代と高齢者に発症のピークがあります。

近年の分類の変化

近年は筋炎特異的自己抗体(MSA)の発見により、抗体別のサブタイプ分類が重視されています。また、筋症状がほとんどない「無筋症性皮膚筋炎(CADM)」も認識されており、特に急速進行性間質性肺疾患(RP-ILD)のリスクが高いことが知られています。

主な症状

患者さん
どんな症状が出るんですか?

子育て内科医
肩や腰まわりの筋力低下が主な症状ですが、皮膚筋炎では皮膚の変化も現れます。間質性肺疾患・嚥下困難・心筋炎などの合併症にも注意が必要です。

① 筋症状(主症状)

四肢近位筋(肩・上腕・大腿・骨盤まわり)の筋力低下が特徴です。腕が上がらない・椅子から立ち上がれない・階段が上れないなどの症状が現れます。筋肉の痛み(筋痛)を伴うこともありますが、痛みが目立たないこともあります。

② 皮膚症状(皮膚筋炎に特徴的)

  • ヘリオトロープ疹:両側の眼瞼(まぶた)周囲の紫紅色の紅斑・浮腫。皮膚筋炎に特徴的
  • ゴットロン丘疹/徴候:指関節背面(第2〜5指)の丘疹・紅斑。皮膚筋炎に特徴的
  • V字徴候・ショール徴候:前胸部・後頸部〜肩の紅斑
  • 技工者の手(Mechanic’s hands):手指の亀裂・角化。抗MDA5抗体・抗Jo-1抗体陽性例に多い

③ 間質性肺疾患(ILD)

PM/DMの合併症として最も重要です。息切れ・乾性咳嗽が症状です。特に抗MDA5抗体陽性の無筋症性皮膚筋炎(CADM)では急速進行性ILD(RP-ILD)を起こすことがあり、致死的になりうるため迅速な診断・治療が必要です。

④ その他の合併症

  • 嚥下困難:咽頭・食道の筋力低下による。誤嚥性肺炎のリスクがある
  • 心筋炎・不整脈:重症例で合併することがある
  • 悪性腫瘍の合併:特に皮膚筋炎では悪性腫瘍(がん)を合併する頻度が高く(約15〜30%)、診断時にがんのスクリーニングが推奨される

診断に使われる検査

患者さん
どんな検査で診断しますか?

子育て内科医
血液検査・筋電図・MRI・筋生検・自己抗体検査を組み合わせて診断します。自己抗体の種類が治療方針や合併症リスクの予測に非常に役立ちます。

  • 血清CK(クレアチンキナーゼ):筋炎の活動性を反映。著明に上昇することが多い
  • アルドラーゼ・LDH・AST/ALT:筋炎のマーカー
  • 筋炎特異的自己抗体(MSA):抗Jo-1抗体・抗MDA5抗体・抗TIF1γ抗体・抗NXP2抗体・抗Mi-2抗体など。病型・合併症・予後を反映
  • 筋電図:筋原性変化を確認
  • 筋MRI:炎症部位の同定・生検部位の決定に有用
  • 筋生検:確定診断。壊死・炎症細胞浸潤のパターンを確認

主な筋炎特異的抗体と特徴

  • 抗Jo-1抗体:抗合成酵素抗体症候群(ASS)。間質性肺疾患・関節炎・技工者の手を合併しやすい
  • 抗MDA5抗体:CADMに多い。急速進行性ILDのリスク高
  • 抗TIF1γ抗体:悪性腫瘍の合併リスクが高い。成人DM
  • 抗NXP2抗体:石灰沈着・悪性腫瘍リスク。若年〜成人DM
  • 抗Mi-2抗体:皮膚症状が顕著。比較的治療反応性良好

治療

患者さん
どんな薬で治療しますか?

子育て内科医
ステロイドが治療の基本です。効果が不十分な場合や副作用を減らすために免疫抑制薬を組み合わせます。急速進行性ILDは救命のために積極的な治療が必要です。

  • ステロイド(プレドニゾロン):治療の主軸。初期は高用量(0.5〜1mg/kg/日)から開始し、徐々に減量
  • タクロリムス(プログラフ®):間質性肺疾患・ステロイド抵抗例に有効。抗Jo-1抗体・抗MDA5抗体陽性例でしばしば使用
  • アザチオプリン・ミコフェノール酸モフェチル:維持療法・ステロイド減量補助
  • メトトレキサート(MTX):筋症状・皮膚症状に有効。ただし間質性肺疾患合併例では原則避ける
  • シクロスポリン:間質性肺疾患・難治性例に使用
  • 大量免疫グロブリン静注療法(IVIG):難治性皮膚筋炎・嚥下困難に有効
  • 急速進行性ILDへの対応:大量ステロイド+タクロリムス+シクロホスファミドの集中治療が行われることがある

日常生活で大切なこと

  • 定期的な筋力評価・呼吸機能検査:症状が落ち着いていても定期受診が重要
  • 誤嚥予防:嚥下困難がある場合は食事形態の調整・摂食嚥下リハビリ
  • 悪性腫瘍のスクリーニング:特に皮膚筋炎は診断後も定期的ながん検診を
  • 感染症予防:免疫抑制治療中はインフルエンザ・肺炎球菌ワクチンを積極的に
  • リハビリ(運動療法):炎症が落ち着いた寛解期には適切な運動が筋力回復に有効

まとめ

  • 多発性筋炎・皮膚筋炎は筋肉・皮膚に炎症が起こる自己免疫疾患で指定難病
  • 肩・腰まわりの筋力低下(近位筋優位)が主症状
  • 皮膚筋炎ではヘリオトロープ疹・ゴットロン丘疹が特徴的
  • 間質性肺疾患(特に抗MDA5抗体陽性CADMの急速進行性ILD)が予後を左右する重要な合併症
  • 皮膚筋炎は悪性腫瘍合併率が高く、診断時・定期的ながんスクリーニングが必要
  • 自己抗体(MSA)の種類が病型・合併症・予後を反映する
  • ステロイド+免疫抑制薬による治療が基本。早期治療が重要

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