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関節リウマチと妊娠・授乳|薬の安全性と注意点をリウマチ内科専攻医が解説

「リウマチの薬を飲みながら妊娠できますか?」「妊娠中も治療を続けられますか?」――関節リウマチと妊娠について不安をお持ちの患者さんへ、リウマチ内科専攻医が詳しく解説します。

患者さん
リウマチの薬を飲んでいますが、妊娠を希望しています。どうすればいいですか?

子育て内科医
関節リウマチの患者さんでも、薬の調整をしながら妊娠・出産することは十分可能です。妊娠前から主治医と計画的に相談することがとても大切です。

目次

関節リウマチと妊娠の関係

関節リウマチ(RA)の患者さんの多くは妊娠可能年齢の女性です。RAと妊娠については以下の重要なポイントがあります。

  • 妊娠中にRAが改善することがある:妊娠中は免疫寛容が高まるため、約50〜75%の患者さんで関節炎が改善または寛解します
  • 産後に悪化しやすい:出産後3〜6ヶ月以内に再燃・悪化するリスクが高くなります
  • 疾患活動性のコントロールが重要:妊娠前から疾患活動性を低く維持することが、妊娠・出産の転帰を改善します
  • 計画妊娠が大切:服用している薬の安全性を確認し、必要に応じて薬を変更してから妊娠することが推奨されます

妊娠前に確認すべきこと

患者さん
妊娠を考え始めたら何をすればいいですか?

子育て内科医
まず主治医に妊娠希望を伝えてください。薬の安全性の確認・変更、疾患活動性の評価、葉酸の補充など、妊娠前から準備することがたくさんあります。

  • 主治医への相談:妊娠を希望したら必ず早めに主治医に伝えてください
  • 疾患活動性の評価:活動期での妊娠は早産・低出生体重のリスクがあります。できるだけ寛解・低活動期で妊娠することが望ましいです
  • 薬の見直し:妊娠中に使えない薬は妊娠前に中止・変更が必要です
  • 葉酸の補充:特にMTX服用中の方は葉酸5mg/日を服用してください。MTX中止後も継続します
  • ワクチン接種:妊娠中に使えない生ワクチン(風疹・水痘など)は妊娠前に接種してください

妊娠中に使える薬・使えない薬

患者さん
妊娠中はどの薬が使えますか?

子育て内科医
使える薬と使えない薬があります。自己判断で薬を中断するのは危険です。必ず主治医と相談して決めてください。

✅ 妊娠中に継続できることが多い薬

  • ヒドロキシクロロキン(プラケニル®):妊娠全期間を通じて使用可能。むしろ継続が推奨されます
  • サラゾスルファピリジン(アザルフィジン®):妊娠中も使用可能。ただし葉酸5mg/日の補充が必須です。なお妊娠中期から後期にかけては中止を検討されることが多いため、主治医と相談しながら継続の可否を判断してください
  • ステロイド(プレドニゾロン):低用量(10mg/日以下)は比較的安全とされます。必要最小限の用量で使用します
  • セルトリズマブペゴル(シムジア®):Fc領域を持たない構造のため、通常の抗体がFcRn受容体を介して胎盤を通過する経路が働かず、胎児への移行がほとんどありません。TNF阻害薬の中で最も妊娠中の使用に適しています
  • TNF阻害薬(エタネルセプト・アダリムマブなど):妊娠中期まで使用可能とされます。ただし妊娠後期(概ね28〜30週以降)は胎児への移行が増えるため、継続する場合は主治医と慎重に判断します

❌ 妊娠中に使用できない薬(催奇形性・胎児毒性あり)

  • メトトレキサート(MTX):催奇形性があるため妊娠中は禁忌。妊娠前3ヶ月以上前に中止が必要ですが、中止のタイミングや葉酸補充の管理は必ず主治医の指示に従ってください。自己判断での中止はRAの急激な悪化を招く可能性があります
  • レフルノミド(アラバ®):催奇形性があるため禁忌。体内からの排泄に非常に時間がかかるため(通常2年以上)、中止後に医師の管理のもとコレスチラミンを用いた洗い出し(ウォッシュアウト)処置が必要です。自己判断で処置しようとせず、必ず主治医に相談してください
  • JAK阻害薬(ゼルヤンツ®・オルミエント®・リンヴォック®など):妊娠中・授乳中は禁忌。計画的な休薬が必要です
  • ミコフェノール酸モフェチル:催奇形性があるため禁忌
  • シクロホスファミド:妊娠中は禁忌

授乳中の薬の使用

患者さん
授乳中でも薬は飲めますか?

子育て内科医
授乳中も使える薬と使えない薬があります。妊娠中と同様に自己判断せず、主治医に相談してください。

  • 使用可能:ヒドロキシクロロキン・サラゾスルファピリジン・低用量ステロイド(10mg/日以下)
  • 要相談:TNF阻害薬(セルトリズマブペゴルは乳汁移行がほとんどないため比較的使いやすい)
  • 禁忌:MTX(乳汁移行・細胞毒性)・レフルノミド(催奇形性・長期体内残存)・JAK阻害薬(乳汁移行・安全性未確立)・ミコフェノール酸モフェチル(乳汁移行・催奇形性)

出産後の注意点

  • 産後の再燃に注意:出産後3〜6ヶ月は特に再燃しやすい時期です(その後も数ヶ月は注意が必要です)。以下のような症状が出た場合は早めに受診してください:朝のこわばりが30分以上続く・複数の関節が腫れる・痛む・以前と比べて関節の調子が明らかに悪い。「育児疲れ」と区別がつきにくい場合でも、気になったら受診が推奨されます
  • 中止していた薬の再開:産後の授乳状況・疾患活動性に応じて主治医と相談して再開を検討します
  • 睡眠不足・疲労の管理:育児による疲労・睡眠不足がRAを悪化させることがあります。周囲のサポートを積極的に求めてください
  • 授乳の判断:服用中の薬によっては授乳を控える必要があります。主治医・産科医と相談してください

まとめ

  • 関節リウマチの患者さんでも計画的に準備すれば妊娠・出産は十分可能です
  • 妊娠希望が出たら早めに主治医に相談してください
  • MTX・レフルノミド・JAK阻害薬は妊娠前に中止が必要です(特にMTXは妊娠前3ヶ月以上前に)
  • サラゾスルファピリジン・ヒドロキシクロロキン・低用量ステロイドは妊娠中も継続できます
  • セルトリズマブペゴルはTNF阻害薬の中で妊娠中の使用に最も適しています
  • 産後3〜6ヶ月(特に最初の3ヶ月)は再燃しやすい時期です。朝のこわばり・関節腫脹が現れたら早めに受診してください
  • 自己判断での薬の中断・継続は危険です。必ず主治医に相談してください

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